退職時にまわりの人が考えていること

仕事

主に転職で仕事を辞めるときには、次の会社のことや有給休暇の消化、業務の引き継ぎなど通常と異なることを多く考えなければいけないため、自分のことに集中しがちです。
ただまわりの人が考えていることを想像しないと、周囲が迷惑を被ったり、十分な有休を取れなかったりします。

在職している会社の人が考えていること

上司

退職する旨を告げると、最初は引き留めをするでしょう。しかし次の転職先が決まっていることを伝えると、なぜ転職するのかという理由を聞いてくるかと思います。もちろんこちら側はすべての理由をあけっぴろげに言うわけではありませんし、単一の理由ではなく複合的だったりもします。

ここで上司は一度、自分の責任ではないか、何を変えたらよかったのかなどを思い悩むと思います。またこの先の組織形態や組織力などについても不安な状態になると思います。

一旦このネガティブな状態が収まると、今度は怒りの感情が出てきます。「このタイミングで」や「役職があるのに」や「これまでの人間関係を無にするのか」などです。ここで退職者の方は、怯んではいけません。退職日と最終出勤日を速やかに決定して、共有した方がよいです。そもそも転職し、決まるまでに当然さまざまな考えをしてその結論に至ったからです。他の人の考えや感情を待つ必要はありません。自分の時計と他人の時計は違うのです。

退職までの道筋がどんどん決まってくると、上司も覚悟を決めて次のことを考えて態度を軟化させてきます。
後釜などの組織人事に着手したり、引き継ぎの項目やスケジュールなどを設定していくと思います。上司や組織のためにも退職日と最終出勤日は早めに決定して、共有した方がよいでしょう。

同僚・部下

同僚や部下は、不安・心配など一番ネガティブな感情になるのではないかと思います。

同僚であれば、一人当たりの業務量が増えることや業務領域が広がる不安が出てきますし、補充の採用に時間がかかる場合は、業務過多が長期間続くことになります。

役職の人が退職する際は、誰が後釜に入るかによってチームの在り方が大きく変わることにもなります。たとえ結果的によい方向に進んだとしても、多かれ少なかれ変化が訪れるのでストレスが発生すると思います。

そのため引き継ぎにはマニュアル的な共有だけでなく、ノウハウや取引先との取り次ぎなども含めてケアしていったほうがよいです。将来的に取引先になったり、会社を離れた後もさまざまな情報交換する友人となるかもしれないですし。

人事部

人事部が考えていることは主に二つかと思います。一つはきれいに退職してもらうこと。もう一つは今後のために、リアルな退職理由を知ることです。

退職時は「退職日」以外に有休消化することで退職日より手前の「最終出勤日」をどのように落としどころを付けるのか、退職者と部署のすりあわせが必要になります。また引き継ぎがうまくいくようにあいだに入ることもあるかもしれません。後任を採用する場合には、在職時に引き継ぎをさせたいのが残る側の心情かと思います。とはいえ、法律上では会社側は退職者の意向を変えることはできません。
有給休暇は労働者の権利ですが、会社側は繁忙期を避けるようにしてもらえる「時季変更権」を持っています。しかし退職日が決まっている場合、変更できる日にちがないためそのまま退職者の意向を受け入れるしかありません。人事はこのようなことを退職者の上司などと共有し、あくまでも「お願い」ベースで引き継ぎや有休を調整してもらうこととなります。

また人事部は、退職時に上司に話した「前向きで表面的な退職理由」だけではなく、経営方針や採用方針、上司とのコミュニケーションなど上司に話しづらい本当の理由も今後に活かしたいと考えています。

私が退職する際には人事部長と飲みに行ったのですが、そのときは他社の採用方法についても聞かれました。web系の人材は引く手数多なのでなかなか採用ができていなかったのですが、「web面接、私服でokのカジュアル面談、20時くらいから面接開始」など、そもそも面接を受けられる間口を広くするなど自分の体験をそのまま共有しました。

他部署の人

仕事のやりとりをしている人の心の中はさまざまかと思います。
単純に退職や有休消化が「うらやましいなぁ」という、実害のない感想系。大変なときに「辞めやがって」という、ちょっと怖い憤慨系。それからいろいろ知りたい「次どこなん?給料上がるん?どんな仕事なん?」のゴシップ系。人なのでいろいろなことを思う、思われるのは当然。

また自分の退社によって、他の部署から人が補充される場合は複数の玉突き人事が発生する可能性もあります。
異動させられる人にとっては、自分の退職のせいで継続していたキャリアが断絶することにもなるため、そういった人たちにも挨拶したり、言葉を交わす時間を設けた方がよいと思います。

やりとりをしている他社の人

発注先の会社

こちらが受注している場合でも発注している場合でも、何らかのお付き合いしている会社があるかと思います。その担当の方々にとって重要なのは、次の人がいるのか、そしてその次の人が少なくとも自分くらいのやりとりができる業界・業務知識があるか。

こちらが発注している場合には、先方の担当者にその発注自体は継続的に行われることをちゃんとお伝えしましょう(もちろん無責任な話はNGですが)。次の担当者の紹介も同じタイミングでできるとベストかと思います。
そうすることで退職する会社も従来通りのサービスの提供を受けられるはずです。

受注先の会社

また自分が担当して仕事を受けている場合は、退職日(最終出勤日)と後任については、ちゃんと引き継ぎをする必要があります。会社に残る人にとっても、継続した取引につながるので安心してもらえると思います。

同業他社に転職する場合は、受注・発注している会社は今後もお付き合いが続いたり、新しい取引のきっかけになる可能性が高く、丁寧な引き継ぎは必須といえると思います。そういう意味では、社内の人よりも大事な繋がりかもしれません。

いろいろなステークホルダーがいますが、退職時にないがしろにしていい人など一人もいないと思います。もちろん適切なタイミングで入社したり、希望する有給休暇を取得するためにはある程度の主張と理論武装は必要です。

人によって受け取り方は千差万別ですし、何も考えずにまわりの人の利害関係を察知するのは難しいことだとは思います。だからこそ、いろんな立場を想像してみることをおすすめします。

また人は短期的に出てくる感情と、じっくり考えて出てくる思考の2パターンがあるそうです。ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」はそんな人間の脳の使い方を教えてくれるので、気になる方はぜひ読んでみてください。

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