日本人は平均睡眠時間が世界の中でも短いという調査結果があるみたいです。睡眠不足を自覚している人も多いのではないでしょうか。すっきり目覚めた状態で1日を過ごしたい人、ストレス解消したい人、お肌や美容を気にしている人など理由は異なれど、しっかり眠りたいという欲求は同じ。
ここでは一般的なよい眠りを作るという方法以外に、「どうやって早く寝るか」「どうやって眠る時間を確保するか」などの具体的な工夫を紹介していきます。
就寝時間を早くする方法
長く深く寝るためには、絶対的に早く寝る必要があります。平日なら仕事があって、起きる時間を遅くできないからです。ここで紹介する「早く寝るためのポイント」は、いずれもいかに欲求を抑えることができるかです。
テレビ番組を最後まで見ない
テレビを一度見はじめるとエンドレスで次の番組を見てしまうと思います。でもそこが早寝を邪魔するハードルとなります。
そこでテレビ番組のスタッフロールが流れはじめた時点で一度テレビを消してしまい、お風呂に入ったり歯を磨いたり寝るための次の行動を開始します。こうすることで、「いつの間にか時間が過ぎてしまっている」ということが減らせると思います。大丈夫です、テレビ番組の最後の5分くらい見なくても人生には全く影響ありません。
そしてテレビを最後まで見ないことで、5〜10分くらい就寝時間を早めることができます。
お風呂に入る時間を早くする
いつもお風呂に入るのは特定の行動が終わったあとだったり、寝る直前ということが多いのではないでしょうか。ここはひとつがんばって、帰宅したらすぐにお風呂に入ってみませんか。在宅ワークしている人は、業務終了後すぐにお風呂に入ってみてください。
もちろんこれは寝る時間を早くするためなのですが、お風呂に入ってから寝るまでの時間がものすごく長く感じることができます。読書をしてもいいですし、ストレッチなどで身体をほぐしてもよいと思います。将来に思いをはせることすらできます。
さらにお風呂に早く入ることによって、睡眠時には体温がしっかりと下がっていて寝つきもよくなります。
1日の食事が終わったら歯をみがく
みなさんは、いつ歯磨きしていますか。寝る直前のルーティンは人それぞれですが、歯磨きは必ずするのではないでしょうか。
しかし食後にすぐに歯を磨くことで、寝る直前のルーティンをひとつ減らすことができます。単に行動の順番を変えるだけですが、歯を磨く時間を早くするだけで、5〜10分くらい就寝時間を早めることができます。
スマホの漫画は朝に読む
布団に入ってからみなさんは漫画を読んだり、インスタを見たりしていませんか。何分くらいみていますか。自分は昔、1時間くらい漫画を読んでいました。この時間を減らすだけで就寝時間をめちゃくちゃ早めることができます。漫画を読むなとは言わないので、朝に読むように変えてみてください。
それがもし難しいなら、布団に入る前に漫画を読んじゃいましょう。テレビを見ながらでもいいですし、歯を磨きながらでも、ご飯食べながらでも大丈夫です。とにかく布団に入ってから寝るまでの時間を短縮します。
ここまでの4つのことをしたら、少なくとも15〜30分くらいは就寝時間を早められると思います。
寝つきをよくする方法
前段での方法では、まだ布団に入って目をつぶっただけの状態です。そこからちゃんと眠りにつかなくてはいけません。ここでは自分を眠くさせてあげる方法をまとめてみます。
朝食にバナナや納豆やヨーグルトを食べる
寝つきをよくする行動は朝からはじまります。朝ご飯はちゃんと食べた方がよいみたいです。朝にエネルギー補給をしているので日中にしっかり活動できて、夜眠くなるという仕組み。
朝食に何を食べたらいいかは見出しで書いているので、ここではその理由を。布団に入ってしっかりと眠くなるためには、眠気をもたらすホルモンである「メラトニン」が脳内で分泌される必要があります。そのメラトニンを作るためには、幸せホルモンとも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」が必要なのですが、セロトニンは必須アミノ酸である「トリプトファン」から合成されます。
トリプトファン→セロトニン→メラトニンの合成・分泌には時間がかかるので、朝にトリプトファンを多く含むものを食べるとよいみたいです。
そんなトリプトファンを多く含む食べ物は、大豆製品や乳製品なので「納豆」や「ヨーグルト」がよいのです。
でも納豆って食べたあとがっつり歯を磨かなきゃいけないし、ヨーグルトはスプーンを洗わなきゃいけないので、簡単に食べられてコスパが良さそうなものを探していたらありました、「バナナ」。食べて皮をゴミ箱に捨てるだけ。5本入り1房で198円とかなので、平日毎日食べるのにぴったりだと思います。
カフェインの摂取は15時までに
カフェインは覚醒作用があるから、コーヒーは夜にあまり飲まないほうがよいというのは広く知られていると思います。
では何時まで飲んでいいかというのは、実は人によって大きな差があります。体内でカフェイン量が半分になる時間(半減期)は6〜9時間だそうです。(半分になったから寝れるかどうかは別にして)24時に寝るとしたら、15〜18時以降は飲まないほうがよいようです。
ちなみに半分でOKというのも怪しいし個人差もあるので、自分は1週間特定の時間以降はコーヒーを飲まない実験をしてみたことがあります。自分の場合14時以降にコーヒーを飲むと、明らかに寝つきが悪くなりました。
意外と見落としがちなのが、カフェインを含む食べ物・飲み物です。コーヒーや栄養ドリンクはもちろんですが、緑茶、紅茶、コーラ、ココア、チョコレートなどにもカフェインは含まれています。
無知だった自分は、脂肪を分解すると思って1Lのパックのウーロン茶を昼に買って、20時くらいまで毎日飲んでいました…。どおりで寝れないはずだ…。
仕事中の午後の飲み物は、カフェインを含まない麦茶や水などがおすすめです。
食事・運動は就寝の3時間前まで
人間の活動を司る自律神経のうち、臓器や器官の働きを向上させるものを交感神経と呼びますが、この交感神経が活発なうちは覚醒している状態になります。運動時はこの交感神経が優位な状態となるため、運動直後は寝つきが悪くなります。運動は、就寝時間の少なくとも2〜3時間前までに終えたほうがよいようです。
食べ物の消化についても2〜3時間はかかるため、同じように時間を空ける必要があります。
そしたら運動と食事をどっちをあとにするか…?悩みますよね。いや悩まないですよね。食事直後に運動は無理ですね。ということで必然的に運動は4時間くらい前まで、食事は3時間くらい前までが正解になりそうです。
お風呂は就寝の1.5時間前まで
寝つきをよくするためには、体温も重要なようです。眠るときには体温が下がっている必要があるのですが、そのためには一度体温を上げたほうがいいそう。入浴で体温が上がると身体を冷やそうとして、血管が広がり熱が放散されやすい状態になります。この状態にかかる時間が1.5時間くらいのようなので、24時に寝たい場合は22時半までにお風呂に入っちゃいましょう。
寝る前にストレッチで身体をリラックス
寝るときには副交感神経が優位になっている必要があります。そのためには身体、筋肉の緊張も解いてあげましょう。
あぐらをかいて股関節まわりをストレッチすること、上半身と下半身をひねって腰回りの筋肉を特に伸ばすことが特に重要です。
音楽やアロマでリラックス
ここまでがホルモンや身体の準備の話で、ここからは心の話です(まあ心もホルモン関係しているんですが)。
ゆったりとリラックスした気持ちになることが大事なので、スローでチルでレイドバックな音楽をかけましょう。特におすすめはNujabesです。ヒップホップのトラックメーカー、DJですがクラシックやジャズの曲をサンプリングし、アルバムジャケットに表現されているような心象風景を想起させてくれる音楽を生み出しています。残念ながらNujabesは2010年に36歳の若さでこの世を去っています。
もう一人おすすめなのは、日本のキーボーディスト、トラックメイカーKan Sanoです。
あとmabanua。ちょっとお酒飲みたくなっちゃう気もしますが。
他に一般的なところだと、スティービー・ワンダーでもいいし、トム・ミッシュもいいし、エンヤとかもいいですね。ドビュッシーとかエリック・サティとかクラシック音楽をおすすめです。
眠る前1時間用のプレイリストとか作ってみてもいいかもしれません。いつもその音楽を聴くことで、脳が「そろそろ寝る時間だな」と憶えてくれるかもしれませんし。
他にはアロマやお香でリラックスするのもいいですね。香りにはあまり詳しくないのですが、安眠にはラベンダーがおすすめのようです。自分はそんなことにかまわず、好きなサンダルウッドのお香を焚くことがあります。
寝る前に部屋を暗くする
寝つきをよくするためには、寝室の照明を暗くするだけではいけないようです。上のほうに書いていた眠気を誘う「メラトニン」は、目に入ってくる光が強いと分泌が減るため、就寝時間の1〜2時間前から部屋の明かりを暗くしましょう。
明るさを調整できるような照明じゃない場合は、思い切って電球や蛍光灯を暗いものに変えちゃうのが正解です。夜に活動するような仕事でない限り、家の照明を使う時間イコール寝る前の時間なので大丈夫です。さらに照明の色は白っぽくないほうがよいので、昼光色→昼白色→温白色→電球色というように、より赤みがかったものに変更していきます。
さらに工夫したいのが、お風呂、洗面所、トイレの照明です。せっかくリビングの照明を暗くしたのに、トイレに入ったらまた明るいともったいないです。電球や蛍光灯を変えられるところは、変えちゃいましょう。
暗い環境でリラックスするテクニックとして、「お風呂に入るときにお風呂の明かりをつけない」というのがあります。自分の場合、脱衣所の明かりだけでお風呂にはいると、びっくりするくらいリラックスできます。
電球などを変えられない場合は部屋の明かりをオフにしてしまい、フロアライトやデスクライトなどを導入してみるのもひとつの方法です。
深く寝る方法
ここでは深く眠るということを、ノンレム睡眠がしっかりとれているとか、中途覚醒がなく起床時にすっきりとしていると考えることにしましょう。「寝つきをよくする方法」で行ってきたことも深い眠りに影響を与えるので、ここからは寝室や寝るとき環境について説明していきます。
寝室をできる限り暗くする
寝室の明るさの好みは個人差がありますし、ネットで寝室の明るさを調べると「真っ暗がいい」「薄明かりがいい」と両方の意見が出てきます。しかもそれぞれにそれっぽい理屈は書いていますが、科学的な根拠については希薄だなあと思います。
そこで個人それぞれの正解に辿り着く方法を考えてみました。もし明け方のいつも同じ時間帯に起きてしまうなら朝日のせいかもしれないので、まず遮光カーテンにして外から入ってくる明かりをシャットアウトしてしまいましょう。
これによって就寝時間の外灯や月明かりも気になりません。これで快適に眠れるならその明るさがあなたにとっての正解です。
もしこれで快眠できないとか中途覚醒してしまうのなら、真っ暗になって目から入ってくる情報がゼロになり視覚が過敏になっているのだと想像できます。その場合は、ベッド下や足下など直接光源が目に入らないところに小さいライトを置いて部屋を少しだけ明るくします。
自分の場合は、妻が真っ暗な部屋じゃないと眠れないので、エアコンのON/OFFの明かりのところにシールを貼るくらい部屋を暗くしています。
部屋を涼しくする
身体の温度が高いと深い睡眠にならないようなので、部屋の温度をしっかりと下げてあげます。ものは試しなので、電気代をケチらずまずしっかりエアコンを使いましょう。
さらに身体だけでなく、大脳の温度が下がっていることが重要なようです。自分の場合は、冷却ジェルを使った枕をバスタオルでグルグル巻きにして低反発枕の上に置いて寝ています。冷却ジェル枕だと固くないので、寝心地も悪くなりません。
ただ首が冷えすぎると脳が覚醒するみたいなので、頭だけ冷やすように気をつけてください。
週末に寝過ぎない
金曜や土曜は仕事から解放されて飲みに出かけちゃいますよね。例えば土曜に飲み過ぎて日曜に昼くらいに起きると日曜の夜になかなか寝つきにくくなると思います。
こうなるとやっかいなので、週末、特に日曜日はがんばって平日からプラス3時間以内に起きるようにします。いつも7時に起きているのであれば10時までに起きるようにしましょう。そして陽の光を浴びましょう。
起きてしまったらこっちのもの。途中で30分くらいなら昼寝をしてしまって大丈夫です。とりあえず朝起きておけば、夜に眠くなるはずなので。
睡眠はリズムなので、週末でもがんばって崩さないようにしたいですね。
睡眠によくないことや無関係なこと
もう当たり前になっていると思いますが、寝酒はダメ。
ホットミルクはトリプトファンを含んでいますが、寝る前は直前過ぎてメラトニンの分泌までには時間が足りません。身体の温度を一時的に高めるためにはいいらしいので、そう考えると白湯でもいいかもですね。
デカフェのコーヒーもちょっとはカフェインを含んでいるみたいです。
メラトニンのサプリメントは良さそうですが、体内合成ではなく体外から長期間摂取したときのデータがほとんどないみたいなので、念のため摂取していないです。
いろいろ紹介してみましたが、できることからぜひ試してみてください。それでは素敵な夢を。